偽物の感情

どうも

シューリーです。

 

私は、この間

すごくすごくいい出来事があったんだ!!

その出来事を誰かに言いたくて言いたくて

ポッと浮かんだ師匠の元に報告に行った。

 

私は、師匠に会うと無我夢中でその出来事を話した。

師匠はニコニコしながら聞いてくれて

話が終わると、一呼吸置いて

「すごく嬉しかったんだね」

と優しく言ってくれた。

 

その時は、若干の違和感を感じながらも

プラスの感情には、間違いなかったので

「嬉しかったです!!!話を聞いてくれてありがとうございました。」

と言って、師匠の元を去った。

 

その後も、いろんな人に「嬉しい出来事があったんだ!」と話し続けた。

それは、家に帰ってからも続き、「お母さん聞いてくれ!嬉しい出来事があったんだ」

と話し始めた。

 

お母さんもニコニコしながら聞いてくれた。

しかし話し終わるとお母さんは、違和感を感じている顔をしている。

若干の沈黙を置いて、

「それは、嬉しかったのかい?楽しかったんじゃないの?」

と言った。

感情についての話だ。

「あなたは、嬉しかったと言っていたけど、出来事の内容的にはどちらかというと

楽しいことよね?」

私は、ただただ気持ちよく話せればそれでよかったので、

水を差された気がして機嫌が悪くなった。

「俺は、嬉しかったんだよ!!もういい!」

そう言うと僕は、自分の部屋に戻った。

ムカムカが止まらない、イライラしてしょうがない

なぜただただ聞けないのか、なぜあんなことを言うのか

気になってしょうがなかった。

 

イライラが収まり冷静になっていくうちにイライラの正体がわかってきた気がした。

お母さんが言っていたことは、私も引っかかっていたことだったのだ。

それを見ないフリして振る舞っていたところに図星を突かれ、イライラした。

それが原因だ。

 

師匠と話した時の違和感。

私は嬉しいわけではなかったのだろうか

そう言われるとそうではないし、嬉しかった気がする

前にあった嬉しい出来事と気持ちは似ているし、、、

ん?ほぼ同じか?それどころか全く同じ気がする!

同じとなるとおかしいぞ。

あまりにも嬉しかった時の出来事と今回の出来事の種類が違いすぎる。

私が嬉しいと認知したのは、師匠と話した時だ。

あの出来事の感情を言葉として表現したのは、あの時が初めてだ。

 

その時私は、気がついた。

 

信頼している師匠から言われたことを信じ、

「きっとそうだ!私は、嬉しいんだ!」と思い込み

過去の出来事から気持ちをトレースしていたのだ。

 

今回ばかりではない。

他の出来事でも自分が言葉にした瞬間から

気持ちは徐々に作られていく、出来事の時の気持ちではなく

出来事を話している時に出来事の時の気持ちを言葉に当てはめて作っている。

そしてその言葉を話し、自己暗示のようにそうだ!と思い、思い出は作られていく。

 

 

私はあの時、どんな感情だったのだろうか

考えても考えてももう思い出せない。

もう、あの時の本当の気持ちには戻れない、、、

 

これは、偽物の感情だ

 

Fin

 

※これは、フィクションです。